予算策定とは 実施時期やプロセスについて解説

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予算策定とは、企業が一定期間内の売上・支出についての目標値を設定し、資金の配分について決定するプロセスのことです。

予算策定のプロセスは大きく「トップダウン方式」と「ボトムアップ方式」に分けられ、多くの場合は双方の利点を生かした折衷方式で進められます。

今回は予算策定について、実施される時期や目的、策定のプロセスやポイントについて解説していきます。

予算策定とは

予算策定とは、企業が一定期間内の売上や支出についての目標値を設定し、資金の配分について決定するプロセスのことです。

予算策定の時期

予算策定の時期は、企業規模によって異なります。大企業の場合、決算月の5、6ヶ月前から情報収集や打ち合わせを開始し、決算月の前月までに予算を確定するスケジュールが一般的です。中小企業の場合はこれより少々短く、決算月の3、4ヶ月前から開始するスケジュールが一般的です。

ビジネスにおける予算の意味

予算というと「目的のために使っていいお金」という意味で、「買い物の予算」「飲み会の予算」などの使い方が連想されると思います。

ただ、ビジネスの予算策定における「予算」は以下のような種類があり、一般的に用いられる意味合いとは異なります。

売上予算

売上予算とは、一定期間におけるサービス・製品の売上高の期待値です。「売上の計画を立案する」という意味合いで用いられることもあります。

原価予算

原価予算とは、サービスや製品を提供するために必要となるコストの見積もりです。人件費や原材料費、製造間接費などが含まれます。

経費予算

経費予算とは、企業の活動のために必要となる費用の見積もりです。広告宣伝費や研究開発費、オフィスの家賃・光熱費など、事業推進のために必要な支出がここに含まれます。

利益予算

利益予算とは、企業の目標利益を意味します。売上予算から原価予算と経費予算を引いて算出されます。

予算策定の目的

予算策定の目的は、大きく「収益性の向上」「意思決定の指針」に集約されます。それぞれ見ていきましょう。

収益性の向上

予算策定によって重要度の高い取り組みが明確となり、効率的な経営資源(リソース)の配分によって収益性が向上します。将来的なリスクまで想定しておけば、リスク管理の効果も得られます。

意思決定の指針になる

予算策定を行うことで、企業全体あるいは部署として達成すべきことが明確になり、意志決定の指針となります。ひいては従業員の意思統一や迅速な行動につながるでしょう。

トップダウン式の予算策定プロセス

予算策定の方法は大きくトップダウン式とボトムアップ式に分けられます。トップダウン式は経営層が全体の目標を決定したうえで、各部門の予算を決めていく方法です。

経営戦略に基づいた予算配分となるので合理的で、迅速に意志決定できることがメリットとなります。一方で「現場の状況と乖離した予算が組まれる恐れがある」「部署間の調整が行いにくい」といったデメリットもあります。

トップダウン式の予算策定が向いているのは、経営層が社内全体を見渡すことができる規模の企業やベンチャー企業などが当てはまります。また、ビジネスモデルが明快で、現場での選択肢が少ない場合も効果的です。

以下、トップダウン式の予算策定プロセスについて解説していきます。

経営計画から目標を設定する

トップダウン式の予算策定ではまず、経営計画から目標を設定します。ここでいう目標とは、具体的な利益の数字などを指します。理想論ではなく、現在の市場の状況や自社のリソースを加味したうえで設定することが大切です。

部署ごとの予算の検討

次に、設定された目標から、部署ごとの予算を検討していきます。経営層が事業計画を考慮しつつ売上高や支出の目標値を定めるのが、トップダウン式最大の特徴です。

整合性の確認・部署間の調整

最後に、部署ごとの予算案をまとめて整合性を確認していきます。また、必要に応じて部署間の調整を行いますが、これも基本的には経営層の主導で実施します。

ボトムアップ式の予算策定プロセス

ボトムアップ式は各部門がそれぞれ予算を策定し、それをもとに全体予算を組む方法です。

現場の意見や実情に沿った予算が組めて、部門担当者や現場の「予算に対する責任感」を高めるメリットがあります。一方で「予算策定に時間がかかる」「達成が容易な低い目標になる恐れがある」といったデメリットもあります。

ボトムアップ式の予算策定は、経営層が現場の状況まで把握できない中規模以上の企業で採用されます。

以下、ボトムアップ式の予算策定プロセスについて解説していきます。

各部署で目標を設定する

ボトムアップ式の最初のプロセスでは、各部署で目標を設定します。部門長を中心に据え、前年度の実績や人的リソースを踏まえて目標値を検討していきます。

なお、バックオフィスを始めとして、部門の性質によっては売上のような明確な指標を設定できない場合があります。設定する予算については、あらかじめ経営層から指定しておくとよいでしょう。

全体予算の調整

各部署ごとの目標が上がってきたら、全体での予算案を作成します。この段階でのポイントは、設定された目標の妥当性を確認することです。現場の主体性を尊重しつつも、必要に応じて現場へ差し戻すことも必要となります。

承認と全社への共有

調整が完了したら経営会議などで承認を経て、全社へ予算を共有します。

予算策定時のポイント

最後に、予算策定時のポイントをお伝えします。

現場責任者の声を反映する

予算策定の方法としてトップダウンとボトムアップを紹介しましたが、現実にはこの二つの利点を組み合わせて実行することがほとんどです。そこで重要になるのが、現場責任者の声を反映することです。

経営層の指示に従うだけでは自主性が芽生えにくく「やらされている感」が強まります。現場の状況に即した目標値を設定する意味でも、現場責任者の声を反映することが大切です。

柔軟性の確保

グローバル化やテクノロジーの急速な発展などを背景として、自社を取り巻く状況が一変するような出来事が増えています。そこで必要となるのが、予算の柔軟性です。

一定期間ごとに予算の評価・見直しの機会を設けたり、部門間で流用できる項目を設けたりと、不測の事態が起きても対応できるような余白を設けておくことがポイントとなります。

具体性のある数字を設定する

予算策定時の最大のポイントは、具体性のある数字を設定することです。予算策定は理想や願望に基づいた数字を掲げるものではなく、実現可能な数字を設定しなければいけません。

とはいえ、容易に達成できる数字を設定すると、組織の成長が鈍化してしまいます。現実的な数字でありつつ、やりがいのある範囲で挑戦をすることが大切です。

明確な判断材料を用意する

上の「具体性のある数字を設定する」を実現するためには、明確な判断材料を用意することが大切です。

前年の売上データから経験則で数字を導き出すだけでは、具体性のある数字は設定できません。とくに近年においては「物価・人件費の高騰」「国内市場の縮小」「気候変動等の外的リスク」といった様々な要因を加味し、データに基づいた客観的判断を下すことがポイントとなります。

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「予算策定時のポイント」で解説したとおり、予算策定を行う際にはデータに基づいた客観的判断を下すことが重要となります。

しかし「どういったデータが予算策定の根拠となるのか」「データをどのように読み解けばいいのか」と、データの収集・分析段階で悩んでしまうビジネスパーソンは少なくありません。

こうした課題に直面する原因は、「数字やデータに対する苦手意識」が挙げられます。「そもそも数字を見るのが嫌」「昔から理系の科目が苦手」といったデータ活用以前の段階で躓いているのです。

こうした方々をレベルアップさせるために、いきなりDX人材やデータサイエンティストを目指す研修を実施しても、上手くいくはずがありません。ただ一方で、いま世間で人気の研修カリキュラムは、高度な専門職を目指すものばかりなのが現状です。

そんなミスマッチのなかで、日々のビジネスシーンで活きる数字・データ活用について学べる研修をご提供しているのが、弊社オルデナール・コンサルティングの「ビジネス数学研修」です。弊社の研修は「数字に苦手意識を持つ一般のビジネスパーソン」を対象にしており、受講者のレベルに合わせてデータリテラシーを育んでいきます。

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