リフレーミングとは、事象の枠組みを変えることで物事の捉え方を変える手法です。その効果として、モチベーションや自己肯定感の向上、人間関係の改善などが挙げられます。
具体的なやり方としては「言葉のリフレーミング」や「時間軸のリフレーミング」といった様々な方法があるので、状況に応じて使い分けると効果的です。
今回はリフレーミングの種類や効果、やり方について、具体例を交えつつ解説していきます。
リフレーミングとは
リフレーミングとは、事象の枠組み(フレーム)を変えることで、物事の捉え方を変える手法です。
リフレーミングの最も有名な例としては「コップに半分の水が入っているときの捉え方」が挙げられます。ある人は「水が半分『しか』入っていない」と捉える一方で、別の人は「水がまだ半分『も』入っている」と捉えます。事象は同じでも、フレームを変えることで捉え方は変わるという典型例です。
リフレーミングは、NLP(Neuro Linguistic Programing:神経言語プログラミング)で提唱される手法のひとつであり、その目的は物事に対する視点や解釈を変えることで、ポジティブな捉え方を獲得することにあります。
リフレーミングの種類
リフレーミングは大きく、「状況」と「内容」の2種類に分けることができます。それぞれ解説していきましょう。
状況のリフレーミング
状況のリフレーミングとは、物事や人に対する捉え方を変えることで、事態を良い方向に向ける方法です。
例えば、「サイズ違いの洋服を買ってしまったが、ゆったりしているので部屋着に合う」「ルーチンワークが苦手で苦労していたが、起業したら上手くいった」などのように、状況や前提を変えることで、置かれている状況を好転させるリフレーミングです。
内容のリフレーミング
内容のリフレーミングとは、人の性格や出来事への解釈・感じ方を捉え直すことで再評価する手法です。
例えば「怒りっぽい人だが、それは何に対しても情熱的な証拠だ」「風邪をひいてしまったけれど、体を休める機会になった」などのように、リフレーミングによって別の意味を見出すことによって、前向きに捉え直すことができます。
リフレーミングの効果・メリット
ビジネスシーンでリフレーミングを取り入れることで、具体的にどのような効果・メリットが得られるのかについて解説していきます。
モチベーションの向上
リフレーミングを行うことで、仕事に対する不安や忌避感をモチベーションに捉え直すことができます。
例えば、上司から責任重大な業務を任された場合、「面倒な仕事を押しつけられた」と捉えてしまうとモチベーションが低下します。しかし、これを「自分に期待して重要な仕事を振ってくれた」と捉えれば、モチベーションは大きく向上するはずです。
自己肯定感が高まる
リフレーミングには、自己肯定感を高める効果もあります。
例えば、「臆病者、意気地なし」という自己評価に対してリフレーミングを行うことで、「慎重・思慮深い」と自身の強みとして再評価することができます。このように自己肯定感を高めれば、今まで躊躇ってしまった場面でも一歩を踏み出せるようになるでしょう。
人を見る目が変わる
「自己肯定感が高まる」のフレームを他人に向けることで、人を見る目が変わります。
会社や取引先のなかには、馬が合わない人もいるでしょう。しかしリフレーミングを行えば、「自分にはない考え方を持っている人」「新たな視点をくれる人」と、ポジティブな存在として捉え直すことができます。結果的に、人間関係の改善につながっていくでしょう。
リフレーミングのやり方・手法
リフレーミングに取り組みたいと思っても、最初のうちはなかなか上手くいかないものです。ここからは、代表的なリフレーミングのやり方・手法について解説していきます。
言葉のリフレーミング
言葉のリフレーミングは、言葉の意味合いや言い回しを変える方法です。具体的には、以下のような例が挙げられます。
・お堅い→礼儀正しい
・しつこい→粘り強い
・自分がない→協調性が高い
時間軸のリフレーミング
時間軸のリフレーミングは、過去や未来へと時間軸を変えて捉え直すことで、新たな発想や視点を得る方法です。なお時間軸のリフレーミングは、「未来・過去から見た現在」と「今でよかった」の2つに大別できます。
・未来・過去から見た現在
「5年後に○○になるためには、いま何をすべきか」のように、未来の自分を主体において現状を捉え直す方法です。
また、いつまでも忘れられない過去のミスに対して「あのミスがあったから、今の自分がある」と肯定的に捉え直すことも時間軸のリフレーミングのひとつです。
・今でよかった
落ち込むようなトラブルやミスについて「今このミスを見つけられなかったら、将来的に大事故を引き起こしていただろう」といった具合に捉え直し、現状を肯定する方法です。
As Ifのリフレーミング
As Ifのリフレーミングは「もし、○○だったら」と仮定することによって、視点や発想を変える方法です。具体的には、以下のような例が挙げられます。
・自分がお客様の立場だったら、どう思うだろう
・憧れの先輩が同じ問題に直面したら、どう立ち向かうだろう
・今週中のノルマ達成を目指すとしたら、どんなアクションが必要になるだろう
wantのリフレーミング
wantのリフレーミングは、納得のいかない状況や膠着した状態に陥った際に「なら、どうしたい?」と質問を投げかけることで、現状打破を目指したり、感情を整理したりする方法です。
例えば「もうこんな仕事したくない」という悩みに対して、「なら、どうしたい?」と自問します。すると「人の役に立つ仕事がしたい」といった答えが浮かぶはずですので、さらに「そのためには、どうすればいい?」と自問を続けることで、現状打破へとつなげていきます。
分解・解体のリフレーミング
分解・解体のリフレーミングは、現在置かれている状況や直面する問題をひとつずつ解体して再定義する方法です。
例えば「こんな難問を解決できるはずがない」と困惑しているときに、「ここからなら処理できる」と感じるまで問題を細分化したり、具体的にどこが難しいと感じているだろうと突き詰めたりすることで解決の糸口を探るのが、分解・解体のリフレーミングの特徴です。
ビジネスにおけるリフレーミング活用の具体例
ビジネスにおいてリフレーミングを活用する際の具体例について解説していきます。
人材育成
人材育成においてリフレーミングは、部下の再評価や成長のきっかけの提示、上司の内省などに役立ちます。
例えば、計画性がない部下について「考えるよりも、行動力に魅力がある人材だ」と再評価を行うことにより、長所を伸ばす方向でのマネジメントを検討できるようになります。
また、チーム内の報連相が少ないという問題があったとしたら、リフレーミングを行うことで「上司側が話しかけにくい雰囲気を作っている」という指導者側の原因に行き当たるかもしれません。
マーケティング
リフレーミングは、マーケティングに欠かせない取り組みといえます。そもそもマーケティングは、世の中や顧客のニーズを探って提供するための活動であり、「消費者や顧客は何を求めているか」というリフレーミングが含まれているからです。
また、自社サービスの改善を検討する際も、「分解・解体のリフレーミング」や「未来から見た現在のリフレーミング」の取り組みが新たな発見を与えてくれるでしょう。
ビジネス数学で「数字に弱い」をリフレーミングしよう
弊社がご提供する「ビジネス数学研修」は、「数字に弱い」という苦手意識をリフレーミングする取り組みともいえます。
実際に数字やデータに苦手意識を持つビジネスパーソンは、想像以上に多いものです。弊社では研修を実施する前に「数学への印象」について質問していますが、8割くらいの方が「数字やデータに苦手意識がある」と回答されます。
しかし「数字に弱い」と感じている人は、決して知識やスキルが足りない人ではありません。ただ数字やデータの捉え方に慣れていないだけなのです。
例えば数字に弱い人は、数字がずらっと並んだ資料を前にすると「答え探し」に取り組んでしまう傾向があります。学校で習った数学であれば「答え探し」でいいのですが、ビジネスでは100点満点の正解があるとは限りません。そのため、数字に弱い人は存在するかもわからない正解を追い求めて時間を浪費してしまい、ますます苦手意識を深めていくことになります。
ですから、弊社の研修ではまず「ビジネスで求められるのは、数字やデータを正しく厳密に扱うことではない」とお伝えしています。その後、ビジネスにおけるデータの捉え方を「現状把握」「不足データのあぶり出し」「ギャップの発見」「次の一手を考える」の4ステップで学んでいきます。
数字の捉え方を変えれば「数字に弱い」という苦手意識が解消され、日々の業務でのデータ活用や、データを根拠とした意思決定を推進することができるでしょう。弊社の研修プログラムについて「もう少し詳しく知りたい」と思われた方は、お気軽に「お問い合わせ」や「資料請求」からご連絡ください!
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