ソーシャルラーニングとは メリット・デメリットを解説
ソーシャルラーニングとは、ソーシャルコミュニティ等で他者との関わりを得ることで学びを加速させる学習形態です。インフォーマルラーニングの一つと位置付けられ、「実践的な知識の取得」「学習意欲の維持・向上」といったメリットがあることから、人材育成の手法としても注目されています。
今回は、ソーシャルラーニングの概要を解説したうえで、そのメリットや実施時に注意すべきデメリットについてお伝えしていきます。
ソーシャルラーニングとは
ソーシャルラーニングとは、ソーシャルコミュニティ等に所属して他者との関わりを得ることで学びを加速させる学習形態です。
ソーシャルラーニングの特徴は、明確に講師・生徒の役割が決められておらず、参加者同士の情報交換や知識・ノウハウの共有によって相互に高め合う点にあります。
またソーシャルラーニングは、職場の人間関係の外にあるソーシャルコミュニティで行われるので、得られる知見の幅が広く、成長の可能性が飛躍的に高まる可能性を秘めています。
ソーシャルラーニングはインフォーマルラーニングの一種
企業における学習の形態はフォーマルラーニングとインフォーマルラーニングに大別され、ソーシャルラーニングはインフォーマルラーニングの一種といわれています。
フォーマルラーニングとは、企業側が主体となり、社員に学んでほしい内容について学習機会を用意する形態のことです。代表例は、マナー研修やハラスメント研修といった社内研修です。
対してインフォーマルラーニングは、個人が主体的に取り組む学習全般を指します。計画性の有無は問わず、日常のなかで偶発的に得られた学びもインフォーマルラーニングに含まれます。具体例としては、「疑問点を上司に質問する」「業務遂行に必要な知識をインターネットで手に入れる」「同僚との会話から企画案を思いつく」などが挙げられます。
これまでインフォーマルラーニングとしての質問やディスカッションの対象は、上司・同僚に限られていました。しかし、インターネットの活用をすればその対象は世界中に広がり、得られる知見やノウハウも飛躍的に広がります。この点でソーシャルラーニングは、インフォーマルラーニングの発展系といえるでしょう。
ソーシャルラーニングのメリット
ソーシャルラーニングには「実践的な知識の取得」「様々な知見が得られる」「学習意欲の維持・向上」といったメリットがあります。それぞれ解説していきましょう。
実践的な知識の取得につながる
ソーシャルラーニングは従来の学習形態と比べて、実践的な知識の取得につながります。
「資格取得に向けた勉強」のように正解がある課題であれば、講義形式などの学習形態が適しています。一方で「取引先へのお土産の選び方」や「首都圏在住の20代に刺さる企画案」には様々な答えがあるため、ソーシャルラーニングの性質が適しています。
後者のようにビジネスで直面する課題には正解があるとは限らず、価値観の多様化が進む昨今においては、人々のニーズも複雑化しています。そこで求められるのは広い視点や多様なアイディアであり、その点でソーシャルラーニングの学習形態が注目されているわけです。
様々な知見が得られる
ソーシャルラーニングの特徴的なメリットとして、様々な知見が得られることが挙げられます。
従来のインフォーマルラーニングは、職場の上司・同僚だけが対象であり、得られる知見にも限りがありました。その点でソーシャルラーニングは、世界中の人から知識・ノウハウを共有してもらえる可能性があり、イノベーションの創出にもつながる可能性があります。
また講義形式の学習形態とは異なり、マニュアル化や資料作成などのプロセスを経ないため、即座に最新の生情報を得られることもメリットといえるでしょう。
学習意欲の維持・向上
ソーシャルラーニングは、参加者の学習意欲の維持・向上にもつながります。
通常のインフォーマルラーニングは「学習の継続」に課題があります。資格取得を目指して勉強を始めたけれど、挫折してしまったという方も少なくないでしょう。
一方でフォーマルラーニングは、参加者に「やらされている」という意識が芽生えがちで、個々のモチベーションによって成果に差が出てしまうという問題があります。
その点でソーシャルラーニングは、自発的な「知りたい・学びたい」からスタートし、参加者同士で支え合う環境が形成されるので、モチベーションが低下しにくい学習形態といえます。
どのような人にもマッチする学び方
学び方や働き方についての価値観は、人それぞれ異なります。その点でソーシャルラーニングは、どのような人にもマッチする学び方だといわれています。
これはパーソル総合研究所・ベネッセ教育総合研究所の共同調査によって確認された傾向で、若年社会人を「社会課題解決タイプ」「働き方重視タイプ」といった様々なタイプに分類したうえで、5つの学びのスタイルと照らし合わせたところ、全てのタイプにおいて「ソーシャルラーニングが重要である」という結果が出ました。
参考:株式会社パーソル総合研究所・株式会社ベネッセコーポレーション「若年社会人の学びに関する定量調査」
「スキル蓄積タイプ」だけはやや重要性が低い結果となっていますが、どのような志向性を持っていてもマッチするというのは、画期的な学習形態といえるでしょう。
ソーシャルラーニングのデメリット・注意点
ソーシャルラーニングには「学習内容が正確とは限らない」「計画的な人材育成に向かない」「ツール選定の手間」といったデメリット・注意点が挙げられます。それぞれ解説していきましょう。
学習内容が正確とは限らない
ソーシャルラーニングのメリットである「様々な知見が得られる」は、同時に「学習内容が正確とは限らない」という不確実性を含んでいます。
明確な講師やマニュアルが存在しない以上、参加者から発信された知見やノウハウの正確性を審査する機能がありません。極端にいってしまえば、参加者の質が低いと学習効果がマイナスに働いてしまう恐れすらあるわけです。
計画的な人材育成に向かない
ソーシャルラーニングは「社員に資格を取得させたい」といった計画的な人材育成には向きません。学習の方向性や進捗具合は、参加者の自由意志によって左右されるからです。
目的・目標を強要すると参加者に「やらされている」という意識が芽生えてしまうため、ソーシャルラーニングの良さが損なわれてしまうでしょう。
ツール選定の手間
ソーシャルラーニングは「SNSを活用した学習形態」と定義される場合もあるように、そもそもツールの使用が前提となります。このツール選定の手間は、かなりのデメリットといえるでしょう。
皆が使用しているようなSNSならば良いかといえば、そうでもありません。X(旧Twitter)のようなオープンSNSだと、セキュリティやコンプライアンス面に不安が生じるからです。
参加者の質の担保や情報漏洩の防止のためにはクローズドSNSであることが必須となりますが、クローズドSNSにも「参加者の数が集まりにくい」「利用者のアクティブ数が減る(アプリを開かない)」といったデメリットがあるため、ツールの選定は一筋縄ではいかないでしょう。
ソーシャルラーニングを加速させたいならオンラインサロン
ソーシャルラーニングが最も促進される場として、オンラインサロンが挙げられます。共通の目標に向かってお互いに高め合うコミュニティが多く、地域や組織の垣根を越えて、様々な人材が集まるからです。そもそもスキルアップや人脈作りを目的としている参加者が多い点も、ソーシャルラーニングとの親和性の高さにつながっています。
実は弊社のオンラインサロン「社会人の数字力向上サロン」もソーシャルラーニングの利点に着目しており、「数字力向上」という共通の目的を持った方々が楽しみながら切磋琢磨しています。
また、当オンラインサロンには、定期的に課題や時事ネタを提供する「ビジネス数学インストラクター」を配置しておりますので、「学習内容が正確とは限らない」「計画的な人材育成には向かない」といったソーシャルラーニングのデメリットを心配する必要もありません。
サロンには「昔から数学が苦手で、細かい数字が並ぶ資料を見ると頭が真っ白になってしまう」「プレゼンの納得感を上げるためのデータの使い方を学びたい」といった、大小さまざまな課題を抱える人が集まっています。もし貴方もビジネスのなかで数字にまつわる悩みを感じているなら、ぜひ「社会人の数字力向上サロン」に参加してみてください。
社会人の数字力向上サロン 〜数字に強いビジネスパーソンになろう〜