ビジネス数学とは? 数字に強いビジネスパーソンとは?

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弊社に寄せられる声で多いのが、「ビジネス数学ってなんですか」という疑問です。

そもそも「ビジネス数学」がどのようなものかがわからないと、弊社が行う研修事業とその目的もご理解いただけないと思います。

今回は外部のライターさんにインタビューを行っていただき、「ビジネス数学とは」「ビジネスパーソンが数字力を鍛える意味」などについてお話しました。

ビジネスにおける数字力とは

ーーまず「ビジネス数学」とはなにかについて、解説していただけますか。

ビジネス数学は、ビジネスシーンで活用する数字力向上に特化した人材教育サービスです。専門職以外のビジネスパーソンを対象としており、普段のビジネスシーンで役立つ数字力向上を目指します。

2006年に公益財団法人日本数学検定協会が「ビジネス数学」の普及を開始し、現在は同協会が「ビジネス数学検定」事業を行っており、弊社が「ビジネス数学研修」事業を提供しています。

ーービジネスで活用する数字というと、近年では「データサイエンス」「DX人材」などがよく話題に挙がりますね。

仰る通り、ビジネスパーソンの多くはビジネスにおける数字と聞くと「データサイエンティスト」や「DX人材」といった専門職を連想すると思います。しかし、こうした専門職人材はビジネスの現場では限られた存在であり、すべてのビジネスパーソンがここを目指す必要はありません。

実際のビジネスの現場では、数字を上手く扱える人材……つまり「数字を相手に分かりやすく伝える」「数字を根拠とした意見出しができる」といった能力ですら貴重です。

そもそも多くのビジネスパーソンは数字が苦手なので、流行の言葉に左右されず、まずは実務に直結する教育を行うことが必要だと我々は考えています。

実は世の中を見渡してみても、専門職以外のビジネスパーソンの数字力を鍛える研修カリキュラムはほとんどありません。なので、弊社は専門職人材の育成ではなく、数字に苦手意識を持つビジネスパーソンを対象とした教育を担っていきたいと考えています。

ーー私も学生時代から数学には苦手意識があったので、よくわかります。

実は、そういう方は非常に多いです。弊社では研修実施時に受講者の方へ「学生時代、数学は苦手でしたか?」とよく質問するのですが、だいたい6割から8割くらいの方が数学は苦手だったと答えます。

この苦手意識が社会人になった今でも引きずられており、例えば会議の資料でたくさんの数字が出てくると思わず目を背けてしまう方も少なくありません。

その一方で、多くの経営者は社員に対して「もっと数字に強くなって欲しい」「データ分析を学んで欲しい」と考えています。数字やデータリテラシーの向上を課題としている企業は、非常に多いですね。一般社員と経営層ですれ違いが起きていると言ってもよいでしょう。

ーー数字への苦手意識はどこから来ているのでしょうか。

「数字に強い・弱い」の根拠にされやすいのが、理系と文系です。「私は文系なので数字が苦手です……」と話される方が非常に多いですね。また、「数字に強い=統計や会計の専門家」と決めつけてしまう方もいます。

しかし、私は以前から「知識不足」=「数字に弱い」という考え方に疑問を感じていました。ビジネスシーンで数字に強い人は必ずしも理系とは限らず、必ずしも会計や統計の専門家ではありません。

数字に強い人というのは、数字やデータから素早くポイントを把握し、理路整然と相手に分かりやすく伝えることができる人だと思います。

例えば、会議中にエクセルで作られた細かな数字がたくさん並んでいる資料が配られた際に、「この点はなんでこうなっているの?」「この数字、本当に正しい?」など、いち早く疑問や間違いを指摘する人に出会ったことはないでしょうか。

こうした方こそ、ビジネスシーンで「数字に強い人」だと思うのです。

ーー反対に「数字に弱い人」にはどのような特徴があるのでしょうか。

数字を見ると遠ざけてしまったり、データを見ると混乱してしまったり、そもそも数字を上手く扱えるか以前に、数字への接し方に問題があると思っています。

学校で習ってきた数学には必ず答えがあったため、数字を目にすると「数字=正しく正確に答えを見つけなければならない」と考えて、正解を探しに行きがちです。

しかし、ビジネスシーンでは正解がないこともたくさんありますよね。頭の良い人が、どんなに時間を掛けて考えても、明日の売上を100%言い当てることはできません。なぜならば、明日のことは誰にも分からないから。

にもかかわらず、細かなデータから正確な答えを求めてしまうため、数字=難しいと思われがちです。

このように見ていくと、実は「数字に弱い人」は知識やスキルが足りないのではなく、数字の使い方や捉え方に慣れていないだけなんです。そこで「ビジネス数学研修」では、知識だけでなく数字の使い方・捉え方・考え方を強化するポイントをお伝えしています。

数字の捉え方や考え方を学ぶだけで、数字力が強化される人がたくさんいます。

ーー数字を扱うとは、具体的にどのような場面のことでしょうか。

例えばBIツールなど様々なツールが発達しているので、多くの企業が多種多様なデータを収集しています。しかし集めたデータは、どのように扱うかが重要です。

せっかくのデータもただ集めただけで終わりにしてしまい、有効活用できていないケースが非常に多いです。これが数字を上手く扱えない事例の典型ですね。

数字を活用してビジネスを進めていく

ーー「ビジネス数学研修」の具体的な内容について教えてください。

まず数字への苦手意識を持つ方は、その克服を目指します。ビジネスで使う数字は難しくないことから知ってもらいたいですね。

次に、数字の使い方を理解する段階に移ります。データを1円単位で厳密に扱うことが必ずしも正解ではないことに、時間を掛けて気づいてもらいます。

ビジネスシーンでは「しっかり正確に」数字を取りまとめるだけでなく、「ざっくり素早く」数字を捉える場面もあります。目的に応じて使い分けることが重要です。

そして、捉えた数字を根拠にして仮説を立て、他の受講者と意見交換を行います。我々は「ビジネスシーンに100%の正解はない!」と考えているので、同じ数字を根拠としても、人によって複数の考え方があることが当然だと捉えています。

だからこそ他の方の意見を聞き、自分とは異なる考えを理解することが大切です。そのためビジネス数学研修では、講義や個人演習だけでなく、グループワークを多く実施しています。

ーー数字への苦手意識の克服について、詳しく教えていただけますか。

では、実際に弊社の研修内容を少しご紹介しましょう。

ビジネス数学研修では、ビジネスシーンに必要な数字力を「把握力」「分析力」「選択力」「予測力」「表現力」の「5つの力」と示し、それぞれの力を底上げするための演習を行っています。多くの人は、数字力=分析力となりがちです。

もちろん分析力も大切ですが、分析結果を相手に分かりやすく伝えるには表現力が必要です。分析力と表現力は異なる力なので、それぞれの力を引き上げるための演習が必要になります。

次のデータは「把握力」の演習で実際に行われている内容です。

あなたは短時間でこのデータから何を読み解けますか?

数字が苦手な方は、このような細かい数字が並んでいる一覧表を見ると「どこを見たらよいかわからない」と目が泳ぎ、悩んでしまいます。把握力の演習では、数字の意味を正しく掴み仕事で生かすことを学んでいくのですが、これは4つのステップから成り立ちます。

1つ目は「現状把握」です。まずは、データから正しく事実を捉えることが大切です。いわゆるデータの集計ですね。

現状把握の1つめのポイントは「実数と割合」です。実数で規模を把握し、割合で効率を捉えます。2つめのポイントは「縦と横の比較」です。時間軸(縦)の比較だけでなく、他者(横)と比較することで、数字の評価を行います。

難しく聞こえるかもしれませんが、「足し算だけでなく割り算も重要」「引き算の対象を複数用意」と言っているだけです。ベースは四則演算。算数ができれば十分です。

2つ目は「不足データのあぶり出し」です。集計して全体を捉えることで、データがきちんと足りているか確認します。

3つ目は「ギャップの発見」です。データが出揃ったのを確認した後、数字に違和感がないかを見つけにいきます。「予算に対してなぜ実績がこんなに落ち込んだのか」など、なぜ?を意識して数字から気になる点を上げていくことがギャップの発見ですね。

そして最後に「次の一手を考える」。ギャップを埋めるために何ができるのか。つまり、アクションプランの設定です。アクションプランを立てることで具体的な行動に繋がります。

単に数字を並べるだけでなく、数字を根拠に考え意思決定に繋げることがビジネスシーンには求められます。

ーーこれが「仕事で数字を活用する」ということですね。

その通りです。多くの方は学校で学んだ数学の延長で数字を捉えているため、正しく・正確に数字を捉えることを強く意識しがちです。もちろん正確に捉えることも大切ですが、ただ単に事実を並べるだけでは、ビジネスシーンで数字を上手く使えているとは言えません。

次の一手を考え行動に移すことが求められます。

しかし、数字を根拠に考えられた次の一手には明確な正解がありません。だからこそ、「なぜ、この考えに至ったのか?」を、相手に分かりやすく伝えることが重要になります。

このように、学校数学では正解があるけれど、ビジネス数学には正解がないことを理解してもらうのも研修の重要な目的のひとつですね。

ーー最後に、読者へ向けてメッセージをお願いいたします。

弊社では、経営者や教育担当者を対象とした無料のオンラインセミナーを毎月実施しており、実際の研修プログラムの一部を体験していただいております。

KPI思考や財務諸表の見方といった、より実務に直結するセミナーも実施しておりますので、お気軽にご参加いただければと思います。

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話者:オルデナール・コンサルティング合同会社 代表社員:長谷川 正恒

数字に対する苦手意識を持つ方は非常に多いです。弊社が企画運営する「ビジネス数学研修」は数字に対する苦手意識の克服から数字を活用した意思決定まで、受講者のレベルやニーズにに合わせて多くの研修をご提供しています。