ビジネス数学でニュースを斬る!①:カルロス・ゴーン騒動
2019年末から2020年にかけてカルロス・ゴーン氏の話題が連日メディアを賑わせていました。
私は日産社の内部事情を知らないので本件に関する意見は差し控えますが、1点気になるニュース記事を見つけたのでご紹介します。
「経営者として三流、犯罪者なら一流」のゴーンは日本に何を残したか
果たしてカルロス・ゴーン氏は経営者として三流なのでしょうか?それは何を持って三流と捉えるかによると思います。
私は経営結果=数字だと考えています。様々な意見があるかもしれませんが経営者の実績を図る上で数字は必要ないと言う人はいないでしょう。
そこで、ゴーン氏が日産社のCEOに就任(就任当初はCOO)した1999年前後から現在に至るまでの日産業績推移を同社有価証券報告書から数字で把握してみました。
日産社は1998年3月期・1999年3月期と2期連続で赤字転落となり経営危機が叫ばれていました。そのため1999年6月にゴーン氏がCOOに就任し経営改革を断行しました。
就任後大ナタを振るい2000年3月期に大きな膿み出しを行った結果業績はV次回復し、2008年3月期の売上規模は就任時点の約1.8倍となりました。
その後リーマンショックにより一時的に赤字転落するものの業績は再び成長軌道に乗り、2018年3月期の当期利益は7,468億円と過去最高益を更新しました。
この結果は本当に経営者として三流なのでしょうか?
繰り返しますが私は日産社の内部事情を知らないのでゴーン氏が経営に関わっていた期間の状況は分かりません。お会いしたこともないので人間性も分かりません。
ただし、開示情報から経営者を数字で評価することはできます。数字で評価する限りゴーン氏は経営者として三流だとは到底思えません。
またゴーン氏は「コストカッター」とのイメージが強いですが、それだけで売上を1.8倍まで拡大することはできないでしょう。
ゴーン氏が日本の司法を無視して国外脱出したことは決して許されることではないと思いますが、それと経営者としての質は別問題です。
世の中にはたくさんのニュースが飛び交っていますが、記事を鵜呑みにするのではなく自ら考え数字で客観的に捉えることが重要ではないでしょうか?
ちなみに、上記業績推移を調べた時間は15分です。少しの時間を使い数字で物事を捉えるだけで違った世界が見えるのではないでしょうか?