社会人の数学の学び直し ポイントや学ぶのは数学でいいのかを解説
社会人になってから数学の学び直しに取り組もうとするビジネスパーソンが増えています。その背景としては「ビジネスでは数字を扱う場面が多い」「数学の知識が必要な職種・業務が増えた」などが挙げられます。
ただ、数学の学び直しには「なかなか学び直しに取りかかれない」「学んだ内容を実務に結びつけるのが難しい」などの注意点もあり、そもそも学び直すのは数学でいいのかについてもしっかりと考える必要があります。
今回は、社会人の数学の学び直しについて、ビジネスで求められるのは「数学」なのかを含めて解説していきます。
社会人になってから数学が求められる背景
リスキリングやリカレント教育など、社会人になってからの学び直しが盛んに話題となっています。そのなかでもデータ活用やDX化などを背景に、数学の学び直しに取り組もうとするビジネスパーソンが増えています。
なぜ社会人になってから数学が求められるのでしょうか。その背景について確認していきましょう。
ビジネスでは数字を扱う場面が多い
社会人になると、意外にも数字を扱う場面が多く訪れます。売上の管理や予算の策定、採用活動の歩留まり率の計算、ホームページの訪問数等の分析など、職種を問わず計算や分析の仕事が求められます。
こうした数字をしっかりと理解し、ビジネスで活用する力を求めて、数学の学び直しに取り組む人は少なくありません。
数学の知識が必要な職種・業務が増えた
「大人になったら数学なんて役に立たない」と多くの人が考え、実際に以前までは難解な計算式などを見ることもなく仕事ができたと思います。
しかし、エンジニアやデータサイエンティストといった仕事が広まり始めたことで、関数や代数といった計算式をビジネス上で扱う職種が増えてきています。
また、高度な専門職でなくとも、データの活用・分析のために統計知識の必要性を感じている人も多いでしょう。技術革新によってビジネスシーンが変化したことで、数学の知識が求められる場面が増えてきているのです。
新入社員がデータ分析の基礎を学んでいる時代に
近い将来、すべての新入社員がデータ分析等の基礎を学んでいる時代となるため、数学の学び直しに取り組む動きが活発化しています。
例えばプログラミング教育は、小学校では2020年度から、中学校では2021年度から必修化されています。とくに高等学校においては2022年度から、数学Ⅰに「仮説検定の考え方」、数学Bに「仮説検定の方法」が加わっており、「ある仮説がデータから見てどれくらい信頼できるか」を数学的に検証する手法を学んでいます。
学校のカリキュラムに取り入れられたからといって、全ての新入社員がデータ分析を行えるわけではありませんが、「上司・先輩として遅れを取るわけにはいかない」と考え、数学の学び直しに取り組む人が増えているわけです。

社会人が数学を学び直す際のポイントや注意点
社会人が数学を学び直す際に注意すべき点やポイントについて解説していきます。
わからない部分の特定
数学の学び直しを始める際、最も厄介なのが「自分がどこが・何がわからないのか」の特定です。
例えば、データを読み解けないという人でも「どこから見ればいいのかもわからない」「データをどうビジネスに活かせばいいかがわからない」など、それぞれ原因が異なり、勉強の仕方も変わってきます。
さらにデータサイエンスなどの高度な分野では、難解な数式を前にして「数学のどの領域を学べば、この数式を読み解けるようになるかがわからない」という問題に直面します。中学で数学に挫折した人が微分の計算式を見ても、謎の暗号のようにしか見えないのと似ています。
このように、学び直しに取り組むにしても自分がどこが・何がわからないのかを明確にしないと勉強に着手することができないわけです。
なかなか学び直しに取りかかれない
多くのビジネスパーソンが数学の学び直しになかなか取りかかることができず、先延ばしにしています。これは怠け癖の問題ではなく「数学を学んでもすぐには成果が出ない」という点に原因があります。言い換えるなら、行うべきタスクとして数学の学び直しが上位に来ないのです。
例えば、データサイエンティストやエンジニアとして働くならば数学の知識があったほうがいいですが、数学ができなければ仕事ができないわけではありません。数学の知識が不足していても、代替手段で補うことができるからです。
あくまでも「数学ができると仕事がスムーズになる」という位置にあるため、ついつい忙しいなかで後回しにされてしまうわけです。
学んだ内容を実務に結びつけるのが難しい
上の2つと深く関連することですが、学んだ内容を実務に結びつけるのが難しいのも注意点のひとつです。
近年は社会人向けの数学の学び直し用テキストやYouTubeなどが充実していますから、独学でも勉強方法自体には困らないでしょう。
しかし、授業の内容がテストで出るような「アウトプットの機会」はなかなか訪れません。学びの内容が実務に結びつかず成功体験を得られないままだと、モチベーションも落ちていきます。大学受験のような目標や期限もないわけですから、だんだんと勉強が苦痛になってくるでしょう。
学び直しに取り組むのであれば、明確な目標やなんらかの成功体験が不可欠となるわけです。

学び直すのは「数学」でいいのか
そもそもの話ですが、数学の学び直しを検討する際は「学び直すのは数学でよいのか」を考える必要があります。
多くの場合、ビジネスで必要となるのは数学の知識よりも論理的思考力や問題解決力といった「数学的思考」であり、必ずしも数学自体を学び直す必要はないからです。
ここではいくつかのシチュエーションを想定し、数学の学び直しが適しているのかについて考えていきます。
ビジネスで統計の知識が必要な場合
ビジネスで統計の知識が必要と考えるなら、数学の学び直しは有効でしょう。
極端な例ですが下のような店舗ごとの売上データがあった場合、統計の知識を持っていると、より効果的な分析ができます。
A店:10月 300万円、11月 250万円、12月 350万円
B店:10月 90万円、11月 700万円、12月 110万円
初歩的な分析として平均値を算出する方法がありますが、この二つの店舗は平均月商は300万円となります。平均での分析だと、B店の売上の特異性が埋もれてしまいますよね。
そこで役立つのが、標準偏差です。標準偏差とは、データが平均値の周りにどれくらいばらついているかを示す数値のこと。この指標でみれば、A店は毎月安定した売上であることがわかり、対してB店は毎月平均値から大きく離れる不安定な店舗であることがわかります。
上の例は極端なので一目で異常な状態であることがわかりますが、実際のビジネスシーンでは何十という店舗があり、より長期間のデータのなかからこうした異変を見つけ出す必要がありますから、標準偏差による処理の重要性が際立ってきます。
このように、業務でより高度な分析に取り組むのであれば、数学の学び直しが役立つでしょう。
高度な専門職を目指す場合
データサイエンティストやエンジニアといった高度な専門職を目指す場合も、数学の学び直しが有効でしょう。
ただし前述の通り、データサイエンティストやエンジニアに就くうえで、必ずしも数学を修めている必要はありません。自身の専門性を高めるためには数学のどの分野を学ぶ必要があり、具体的にどのような効果(成果)が期待できるのかを事前にしっかりと確認しておきましょう。
漠然と「データ活用・分析のため」と考えている場合
漠然と「データ活用・分析のため」といった気持ちで数学の学び直しを検討しているなら、考え直す余地が大いにあります。多くの場合、データから何かを読みとる際には、四則演算(足し算・引き算・掛け算・割り算)ができれば十分だからです。
例えば、下の表は弊社の「ビジネス数学研修」で出題している課題で「このグラフから事実と仮説を上げる」というものです。

難しい言い方をすれば、売上データを分析して現状把握と仮説立案を進めていくわけですが、こう言うと途端に「数学ができない自分には無理」と思い込む方が増えます。しかし、繰り返しとなりますが数学の知識は必要なく、四則演算さえできれば十分です。
例えば、現状把握。ポイントとなるのは「割合」と「縦と横の比較」です。
割り算で割合を導き出すことで「全体シェアの半分を占めている」といった構成比を把握できます。また、「前年と比べてどう変化したか」といった時間軸、「競合他社と比べてどういう状態か」といった他者軸の比較を行うことでも、より詳細に現状を把握できます。
そして仮説立案は、現状把握で確認した事実から「業界2番手であるB社がトップのA社を超えていくためには◯◯が必要だ」など、数字を根拠にして考えていきます。これもデータ分析の重要なポイントなのですが、仮説ですから間違っていても構いません。現実では、データから読み取る内容に学校数学のような100点満点の回答など存在しないからです。
ここまででおわかりいただけたと思いますが、数学が必要だと考える人のなかには算数で対応できるものですら「難解な数式を知らないと解けない」と思い込んでいる人が少なくありません。数字やデータに対して苦手意識を感じており、必要以上にデータ活用・分析を難しく考えているのです。
弊社がご提供する「ビジネス数学研修」は、そうしたデータ・数字に対する苦手意識を解消し、ビジネスシーンで役立つ数学の力を実践的に伸ばしていきます。
プログラムは上でご紹介した課題のように実際のビジネスシーンを想定したものとなっておりますので、学んだ内容がしっかりと実務に結びつきます。また「ビジネスで統計の知識が必要な場合」で挙げたように、統計の知識まで学びたいという場合は「ビジネスで活用する統計」というプログラムをご用意しております。
なお、個人で「ビジネス数学を学びたい」という方には、弊社のオンラインサロン「社会人の数字力向上サロン」をおすすめしております。弊社のサロンは「楽しみながら学ぶ」をテーマにしており、時事ネタなどから数字の見方や考え方を学んでいき「いつの間にか数字力が上がっていた!」と感じられる場を目指しています。
「学び直しを苦痛に感じてしまった」「つい勉強を後回しにしてしまう」という方にこそお試しいただきたいです。 弊社の「ビジネス数学研修」や「社会人の数字力向上サロン」について、少しでも興味を持っていただけたのなら、ぜひお気軽に以下のリンクからお問い合わせください。
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