エンゲージメントスコアとは 算出方法や高め方を解説

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エンゲージメントスコアとは、従業員が所属している企業に対して抱く愛着心などを数値化したものです。厚生労働省の調査でもエンゲージメントスコアを高めることで「生産性の向上」「定着率の向上」といったメリットが示されており、人的資本経営の広がりや人手不足などを背景に関心が高まっています。

今回は、エンゲージメントスコアと従業員満足度の違いや算出方法、メリット、スコアの高め方などについて解説していきます。

エンゲージメントスコアとは

エンゲージメントスコアとは、従業員が所属している企業に対して抱く愛着心や、経営理念への共感などを数値化したものです。

会社に貢献したいという気持ちや業務に対する熱意などは定性的なものであり、目には見えません。それを定量的に表して可視化することによって、従業員の状態や組織の課題が浮き彫りとなり、どのような施策が必要なのかが検討しやすくなります。

従業員満足度との違い

エンゲージメントスコアに似た指標として、従業員満足度があります。従業員満足度とは、業務内容や人間関係、給与、福利厚生などに対する満足度を数値化したものです。

エンゲージメントスコアは、仕事に対する情熱や会社が掲げるビジョンへの共感といった、やりがいや愛着心を数値化するものなので、数値化の対象が若干異なります。

一方で、両者は相互補完の関係にあります。待遇や職場環境に満足していなければ愛着心は生まれませんし、やりがいや共感を感じていても給与・福利厚生に満足していなければ仕事は続けられません。

エンゲージメントスコアと従業員満足度のどちらが優れているかという比較は意味がなく、両方をケアすることが重要になります。

エンゲージメントスコアを上げるメリット

エンゲージメントスコアを上げることによって、「生産性の向上」「定着率の向上」「採用力の強化」といったメリットが期待されます。

生産性の向上

エンゲージメントスコアの向上は、生産性の向上につながります。実際に厚生労働省「令和元年版 労働経済の分析」によれば、ワーク・エンゲージメントスコアの上昇につれて、個人の労働生産性に関する認識(従業員個人が、労働生産性が向上していると感じる度合い)が比例して上がっていくことが示されています。

定着率の向上

エンゲージメントスコアの高さは、新入社員の定着率向上につながります。これも厚生労働省「令和元年版 労働経済の分析」で関連性が調査されており、ワーク・エンゲージメントスコアの上昇によって新入社員の定着率が大幅に上昇することが示されました。

採用力の強化

エンゲージメントスコアの高さを対外的に示すことで、採用力の強化が期待できます。やりがいを持って仕事ができ、定着率も高い職場は、求職者にとっても魅力です。エンゲージメントスコアの高さを上手くアピールすれば、優秀な人材の確保や採用コストの削減といったメリットが得られるでしょう。

エンゲージメントスコアの算出方法

エンゲージメントスコアは、エンゲージメントサーベイを通じて算出していきます。エンゲージメントサーベイはその名前のとおり、従業員のエンゲージメントの状態を定量化して確認するための調査であり、その手法は大きくパルスサーベイとセンサスに分けられます。

それぞれの特徴を理解し、目的や調査したい項目に応じて適した調査を行うことが大切です。

パルスサーベイ

パルスサーベイは、簡単な質問を短期間のうちに繰り返し実施する調査手法です。調査を短いスパンで継続して実施することで、従業員の状態の変化を素早く掴むことができます。

パルスサーベイは新しい施策やツールの導入時などに行うのも効果的で、質問数を10問前後に厳選し、週1回から月1回ほどの頻度で行うことがポイントとなります。

なお、パルスサーベイについては「パルスサーベイとは メリット・デメリットや質問項目の例を解説」でも詳しく解説しています。

センサス

センサスは、全数調査あるいは大規模調査という意味で用いられます。エンゲージメントサーベイにおいては、年1、2回の頻度で行う全社員を対象とした大規模調査を指し、質問内容も網羅的で50~150問ほどの項目を用意します。

こうした性質から多くの場合、経営理念や事業計画といった大局的な内容について確認するための手法となります。

エンゲージメントスコアの高め方

ここでは、具体的にエンゲージメントスコアを高めるために必要な取り組みについて解説していきます。

エンゲージメントスコアの構成要素を確認する

エンゲージメントスコアを高めるための第一歩は、エンゲージメントスコアの構成要素を確認することです。

ここではスコアリングの基準の例として、50カ国以上でコンサルティングサービスを展開するコーンフェリー社が定める12項目をご紹介しましょう。

・経営理念や組織の方向性についての共感や浸透具合

・経営層や管理職のリーダーシップ

・個人(従業員)の尊重

・高い品質のサービス提供と顧客志向

・成長機会の提供

・報酬等の待遇についての満足度

・業務や求められる成果への理解と適切な評価

・業務における権限、裁量権

・教育、研修の機会についての満足度

・組織内の協力体制

・業務プロセスや組織の体制についての満足度

まずはエンゲージメントサーベイを通じて、これらの要素で不足している部分を確認し、改善策を検討することから始めましょう。

社内コミュニケーションの活性化

ここからは、より具体的にエンゲージメントスコアが高まる取り組みについて見ていきましょう。まずは、社内コミュニケーションの活性化です。これは人間関係の改善を目指すという意味だけでなく、トップダウンとボトムアップの融合を目指す取り組みとなります。

理想としては、経営層から組織の理念や方向性を発信し、従業員に業務の意義や重要性を理解してもらいつつ、現場の声をくみ取って意思決定に反映していく双方コミュニケーションの実現を目指します。

こうした社内コミュニケーションの活性化によって、的確に現場が求める人事施策を実行できるようになり、エンゲージメント向上の好循環を作り出します。

管理職のマネジメント力の向上

上の「社内コミュニケーションの活性化」とも深く関わるのが「管理職のマネジメント力の向上」です。管理職は、経営層が掲げる理想と現場の声のあいだに仲立ちし、部下がモチベーションの高い状態でいられるよう働きかけなければいけません。

ただ、これは容易なことではなく、高いマネジメント力が求められます。そのため、管理職のマネジメント力を向上させるために組織として学習・研修の機会を用意するだけでなく、適した人材が管理職の地位に就けるように評価制度の整備も求められます。

ワークライフバランスの推進

昨今、とくにエンゲージメント向上に欠かせない要素となっているのが、ワークライフバランスです。

終身雇用制度の崩壊や働き方の多様化などを背景に、仕事を一義的な存在として捉える人は減少しています。長時間労働の是正は当然ながら、テレワークへの対応や有給取得率の向上など、従業員がプライベートの時間を大切にできる環境作りが求められます。

多様なキャリアパスの提示

今後さらに従業員のエンゲージメントを高めていきたいのであれば、多様なキャリアパスを提示できる人事制度を整備することも欠かせないでしょう。

とくに近年は「管理職になりたくない」と考える人が増えており、キャリアアップ支援がエンゲージメント向上につながるとは限らない状況となっています。そのため、複線型人事制度や社内公募制度のように、それぞれのキャリア志向に合わせたキャリアパスを提示できる体制が理想となるでしょう。

社外への発信

エンゲージメントスコアを向上させるためには、エンゲージメントスコア向上の実績や各種の取り組みを積極的に発信していくことも効果的です。自社のブランドイメージが向上すれば、自ずと従業員の会社に対する愛着も向上していくからです。

スコアをもとにした施策立案に必要な「数字力」

エンゲージメントスコアを向上させるためには、エンゲージメントサーベイを行うだけでなく、調査の結果を分析し、適切な人事施策を立案・実行することが求められます。

ただその一方で、人事担当者のなかには「サーベイの知識・実務経験がない」「データを読み解くのが苦手」など、数字・データに対する苦手意識を持つ方も少なくありません。調査を行ってもうまく集計・分析できず、せっかくのデータがお蔵入りしてしまうという失敗談は少なくありません。

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