伝え方が下手な人の特徴 上手く伝えるためのコツとは
伝え方が下手な人には「思いついたまま伝える」「1回で伝わったと思いこむ」「抽象的な表現が多い」といった特徴があります。こうした特徴を持つ人は「言った・言っていない」のトラブルや、情報伝達の遅延などを招きやすくなります。
今回は、伝え方が下手な人の特徴を踏まえて、伝え方を磨くメリットや今すぐできる伝え方のコツについて解説していきます。
伝え方が下手な人の特長
伝え方に関する本がベストセラーになるように、伝え方が下手だと悩むビジネスパーソンは少なくありません。
伝え方を磨いていくためには、まず伝え方が下手な人の特長を押さえておき、何が伝わらない原因になっているのかを把握していくことが大切です。
思いついたまま伝える
伝え方が下手な人の代表的な特徴として、思いついたまま伝えることが挙げられます。
思いついたまま伝えると、「話の時系列がバラバラになる」「不要な情報まで伝えてしまう」といったミスを犯しやすくなり、要点が伝わりにくくなることで、相手の誤解や混乱を招きやすくなります。
1回で伝わったと思いこむ
伝え方が下手な人は、往々にして1回で伝わったと思いこむ傾向があります。しかし、人は簡単に忘れてしまう生き物です。相手がよほど熱心に聞き取ろうとしない限り、なかなか1回では伝わらないものなのです。
こうした記憶のメカニズムについては、ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスが提唱した「エビングハウスの忘却曲線」が有名です。氏の実験によれば、人の記憶保持率は20分で58%、1時間で44%、1日で26%にまで減退するとされています。
勉強においても復習が重要といわれるように、何かを伝えたいなら繰り返し伝えることが必要なのです。
質疑応答を想定していない
伝え方が下手な人の多くは、質疑応答を想定していません。そのため、相手から質問や指摘に対して的外れな返答をしてしまい、なかなか要点が伝わらないという結果に陥りがちです。
これは自分が伝えたいことばかりを考えており、相手がどのように受け取るかをイメージしていないために起こる問題です。
抽象的な表現が多い
伝え方が下手な人は、つい抽象的な表現を用いてしまう傾向があります。抽象的な表現は、相手との認識の相違を生みやすくなります。
例えば「たくさん」という言葉に対して、100をイメージする人もいれば、1000をイメージする人もいます。こうした認識の相違はトラブルの種になりやすいため、とくにビジネスシーンでは具体的・定量的な表現を用いることが求められます。
誠意や熱意で押し切ろうとする
伝え方が下手な人のなかには、誠意や熱意で押し切ろうとする人がいます。もちろん、誠意や熱意は人を動かす重要な要素なのですが、「伝える」という意味では納得感を生み出すことができません。
また悪いことに、誠意や熱意は成功体験に結びつく場合もあるため、余計に誠意や熱意だけで押し切る癖がつきやすいという問題もあります。
伝え方を磨くメリット
伝え方を磨くことにより、具体的にどのようなメリットが得られるのかを解説していきます。
トラブルを防ぐ
伝え方を磨く最大のメリットは、トラブルを防ぐことです。伝え方が拙いと、「言った・言っていない」のトラブルや、認識の相違などを招きやすくなります。組織全体で正しい伝え方を身につけることは、リスクマネジメントにつながるでしょう。
コミュニケーションコストを減らす
伝え方を磨けば、コミュニケーションコストを減らすことができます。コミュニケーションコストとは、意志疎通や情報伝達にかかる時間と労力のこと。これを減らすことができれば、幅広いシーンで業務の効率化につながります。
信用の獲得
伝え方を磨くことは、信用の獲得につながります。伝え方が上手いということは、相手からすれば「説得力がある人」「話していてストレスがない人」という印象を与えます。
部下や同僚からの信用の獲得はもちろん、取引先を始めとした社外からの信用を勝ち取りやすくなるでしょう。
伝え方を上達させるための8つのコツ
ここからは、伝え方を上達させるためのすぐに実践できるコツをお伝えしていきます。
伝えたいことを整理する
最初に取り入れたいのが、伝えたいことを整理する習慣です。伝え方が下手な人の多くは思ったことをそのまま口に出しており、結果として要領を得ない言動になっています。
まずは一拍置いて、伝えたい結論やその根拠・理由などを整理する習慣を身につけましょう。
相手の理解度を把握しておく
次に意識したいのが、相手の理解度を把握しておくことです。相手が知っている内容だと思いこみ、一方的に話していたら全く伝わっていなかった……なんて失敗は、誰しも経験があると思います。この例からもわかるように、相手の理解度によって適切な伝え方は変わってくるのです。
例えば顧客にサービスの説明をするのであれば、できるだけ固有名詞や専門用語を使わず、誰にでもわかる平易な表現で伝えなければいけません。逆に相手の理解度が一定以上ある場合は、事細かに伝えると相手の反感を買ってしまう可能性があります。
コミュニケーションの前には、相手に「内容をどの程度理解しているか」を尋ねるのもよいでしょう。
主語と述語を意識する
国語の授業のようですが、主語と述語を意識することも重要な伝え方のコツです。「誰が」と「何をする」という重要な情報の漏れを防げるからです。
とくに伝え方が下手な人は、主語が抜けていたり、述語を「あれ・それ」といった指示語で済ましていたりします。主語と述語は、状況や前後関係によっては省略しても伝わる場合もありますが、やはり誤解を生まないようにはっきりと表現することが大切です。
結論から伝える
伝え方の代表的なテクニックとして、結論から伝える方法があります。例えば「会議の日程を◯日にしたいのですが」と切り出せば、聞き手側も「日程調整の確認か」と聞く姿勢を取れるので、話がスムーズに進みます。
結論に続けて、理由や具体例などを挙げることで、さらに説得力のある伝え方になるでしょう。
余計な情報を削る
「結論から伝える」と似たコツですが、余計な情報を削ることで相手の混乱を避けることにつながります。
先ほどの会議の日程の例でいえば「会議の日程を◯日にしたいのですが、営業部の融通がきかないんですよね」と切り出してしまうと、会議の日程の話なのか、営業部の融通がきかない話なのかがわかりにくくなります。
「話やメールの文章が長い」と指摘される人は、往々にして伝える必要のないことまで伝えており、本題や要点がわかりにくくなっています。誤解を招く原因にもなるので注意しましょう。
伝えるタイミングに気を配る
伝え方のコツには聞き手のことをイメージするものが多いですが、伝えるタイミングもそのうちのひとつです。
例えば、相手が忙しいときや帰宅際に相談を持ちかけても、まともには取り合ってもらえません。相手の聞く姿勢が整っているタイミングを狙うのも、伝え方のテクニックのひとつなのです。
ビジネスにおいても、クライアントが課題に悩んでいるときにそれを解決できるような提案を持ちかければ、熱心に話を聞いてくれるはずです。
相手の立場をイメージする
「相手の理解度を把握しておく」や「伝えるタイミングに気を配る」の1ランク上のコツとして、「相手の立場をイメージする」が挙げられます。
例えば、商品やサービスの説明をしている最中に、相手が「そんな話はいいから、○○はできるの?」と怒り出す……というのは、販売職やプレゼン時の「あるある」な失敗談ではないでしょうか。「相手が自分に何を求めているか」まで考えを巡らせないと、伝えること自体が無駄になってしまうこともあるわけです。
逆にいえば、相手の立場をイメージすることさえできれば、伝え方は劇的に上手くなります。
伝わったかを確認する
複雑な事柄やミスが許されない場面では、相手にきちんと伝わったかを確認することも必要となるでしょう。どれだけテクニックを意識し、相手について想像を巡らせても、認識のずれは少なからず生じるものだからです。
上司・部下の間柄ならば、伝えたことを相手に説明してもらうのも有効な確認方法です。相手にしっかりと伝わっていれば、正しく説明できるでしょう。
伝え方を上達させたいなら「ビジネス数学研修」
伝え方を上達させるコツのひとつに「数字を用いる」という方法があります。これはとくに抽象的な表現を用いてしまう人は、必ず身につけるべき習慣です。コミュニケーションのなかに数字を用いることで曖昧さがなくなり、相手との共通認識を得やすくなるからです。
例えば、ビジネスではよく「なるはや(なるべく早く)で資料を作っておいて」といった指示を出す人がいますが、「具体的にいつまでに作ればいいの?」と疑問を感じてしまいますよね。
前述の「たくさん」と同じで、「なるべく早く」も人によって捉え方が異なります。ですからこうした抽象的な指示は、「25日の17時までに資料を作っておいて」といった具合に数字を用いて、誰が聞いても共通認識を持てるように表現する必要があります。
ほかにもこうした数字を用いた伝え方は、「報・連・相」にも効果的です。例えば、「来週の○○店の人手が足りません」という報告を上げるとしましょう。
ただこのままでは「いつ、どれくらい」に関する情報が不足していますので、数字を用いて「○○店の25〜27日の人員が2名足りません」とすることで、自然と必要な情報を盛り込むことができるわけです。
こうした数字を活用した伝え方のコツは、弊社がご提供している「ビジネス数学研修」のほんの一部です。ビジネス数学というとテクニカルスキルの向上を目指すと思われがちですが、コミュニケーション研修の一環としてご活用いただくこともあり、実は日々のビジネスシーンで活きる実践的なスキルを磨いていく研修なのです。
「部下への指示の伝え方を磨きたい」「組織内の言った・言わないのトラブルを減らしたい」といった課題にお悩みでしたら、ぜひ弊社の研修をご活用ください。
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