セルフマネジメントとは やり方やできない原因について解説
セルフマネジメントとは、目標達成や自己実現のために、思考や感情、体調などを管理することです。テレワークの普及を背景に自己管理の必要性が高まったことから、近年注目される能力です。
セルフマネジメントのやり方としては「精神論を切り離す」「低いハードル設定」「報酬の設定」などのポイントが挙げられます。
今回は、そんなセルフマネジメントの構成要素や、できない原因、具体的なやり方などについて解説していきます。
セルフマネジメントとは
セルフマネジメントは直訳すると「自己管理」となり、ビジネスシーンでは、目標達成や自己実現のために、思考や感情、体調などを管理することを指します。テレワークの普及によって職場以外で仕事をする人が増え、自己管理の必要性が急激に高まったことで、近年とくに重要視される能力です。
「マネジメントの父」であるピーター・ドラッカーが重要視したことでも有名で、「自分を管理できない人が、他人を管理することなどできない」と説いています。

セルフマネジメントを構成する要素
セルフマネジメントは、大きく以下の5つの要素(スキル)によって構成されます。それぞれ解説していきましょう。
メンタルヘルスケア(セルフケア)
セルフケアは、心の健康を自分で守ることを指します。ストレスを自認し、ストレスを受け流したり、解消したりする術を持つことがセルフマネジメントには欠かせません。
レジリエンス
レジリエンスは直訳すると「回復力・復元力・弾性」といった意味であり、精神的な回復力を指します。簡単に言えば、逆境に直面したときの気持ちの切り替えや、ポジティブ思考のことです。
アンガーマネジメント
アンガーマネジメントとは、怒りと上手に付き合うための心理トレーニングです。怒らないようにするのではなく、怒りの感情をコントロールすることで、集中力の高い状態を維持したり、良好な人間関係の構築を目指したりするテクニックです。
マインドフルネス
マインドフルネスは、「現在起きていること・この瞬間」に意識を向け、評価を加えずに物事を捉えることです。瞑想による実践が一般的で、リラックス効果や集中力の向上、内省の促進などの効果があります。
キャリアデザイン
キャリアデザインは、将来の理想とする自分をイメージし、その達成に向けて働き方を設計していくことです。
目標もなく漫然と目の前の仕事をこなしているだけでは、達成感やモチベーションが持てません。ですから目標を設定することも、セルフマネジメントの重要な要素となるわけです。

セルフマネジメントができない・苦手な原因
セルフマネジメントができない人の特徴、苦手につながる原因について解説していきます。
こだわりが強すぎる
こだわりが強すぎる人は、セルフマネジメントに失敗しがちです。こだわりの強さは、不適切な目標設定に直結するからです。
とくにビジネスにおいては、時間(納期)やリソースが厳密に定められています。本来であれば、その範囲のなかで成果を上げなければいけないわけですが、こだわりが強い人は理想のためにそれらをオーバーワークでカバーするため、心身に負担を掛けがちです。
また、仕上がりのちょっとした不備に対して過剰にストレスを感じる傾向があることも、セルフマネジメントが上手くいかない原因といえるでしょう。
人に頼れない
セルフマネジメントが苦手な人は、人に頼れない傾向があります。自己管理の話なのに、人に頼れないことが原因になるのは違和感があるかもしれません。
しかし、人に頼れないということは、能力を超えた負担であっても一人で抱え込んでしまうということであり、心身に負担がかかりやすい性格といえます。この点は、アンガーマネジメントとも関連しています。必要なときには怒ることも、アンガーマネジメントに含まれるからです。
優先順位をつけるのが苦手
優先順位をつけるのが苦手な人は、総じてセルフマネジメントも苦手です。
例えば、緊急度が高いタスクと低いタスクを同列に捉えてしまうと、常に追い立てられるような状態に陥り、過度なストレスがかかります。結果的にミスが増え、作業効率も悪くなって、さらに心身への負担が増えてしまうわけです。
マインドフルネスが推奨されることからわかるように、いま起きていることを捉える力がセルフマネジメントには欠かせません。

セルフマネジメントのやり方
これを読んでいる方のなかには「セルフマネジメントができない」と悩んでいる方も多いでしょう。ここでは、主にやる気や行動をコントロールするための方法について解説していきます。
精神論を切り離す
セルフマネジメントの第一歩は、精神論を切り離すことです。思考や感情を管理するのに「精神論を切り離す」と聞くと、不思議に思うかもしれません。
しかし、気合いや根性で乗り切ろうとしても「そのやる気が起きないから困っている」という方がほとんどではないでしょうか。セルフマネジメントに必要なのは、行動を起こすきっかけや、行動を起こすための環境を作ることなのです。
例えば、昼休み明けにやる気が出ないのを改善したいのなら、休憩へ出る前にあえて中途半端に仕事を切り上げることで、すぐに続きから始められる状態にしておくという方法があります。キリよく一段落してしまうと、もう一度エンジンをかけるのに手間取るからです。
このように、セルフマネジメントは精神論ではなく、行動を管理する仕掛けや工夫から始まるのです。
低いハードル(目標)設定
セルフマネジメントのやり方のひとつとして、低いハードル(目標)設定が挙げられます。
セルフマネジメントでは、目標と目標達成までのマイルストーンを適切に設定することが推奨されます。そのため、多くの人が意気込んで高い目標や理想を設定しますが、これはおすすめできません。いきなり高いハードルを越えようとすると、ほとんどの人は挫折するからです。
最初のうちは、三日坊主で終わらないような低いハードルを設定し、「毎日、目標を達成できている」と自己効力感を上げながら習慣化につなげることがポイントとなります。
目安としては、21日間継続することで習慣として定着するとされる「インキュベートの法則」を意識してみるとよいでしょう。※実際は21日という日数については個人差があるといわれています。
報酬の設定
セルフマネジメントでは自分に対して目標や習慣を課すだけでなく、報酬を用意してあげることも大切です。
とくに最初のうちは、目標達成や成果につながらずとも「行動した・嫌なことに挑戦した」に対して報酬を設定しましょう。例えば、苦手な外回りをした際、契約が取れなくても「外回りに出た報酬」として豪華なランチなどを設定することで、外回りへの心理的ハードルが下がります。
やがて行動が習慣化すれば、報酬を設定せずとも自然と行動を起こすことができるようになるでしょう。
周囲に宣言する
セルフマネジメントは自分だけで完結するものではなく、ときには周囲を巻き込むことも必要になります。そのなかでも最も簡単なのが、目標や行動を周囲に宣言することです。
これは心理学において「宣言効果(パブリックコミットメント)」と呼ばれる手法で、宣言をすることで目標に対する意識が切り替わり、周囲からのプレッシャーも加わることで目標達成率が向上するといわれています。周りに適任者がいないという場合は、SNSで発信してもよいでしょう。
睡眠時間の確保
セルフマネジメントの絶対条件といえるのが、睡眠時間の確保です。睡眠の重要性は言うまでもなく、睡眠不足は脳機能や運動機能を低下させることが明らかになっています。
セルフマネジメントにまつわる様々な取り組みも、すべては十分な睡眠を取っていることが前提となります。

目標を定量化してセルフマネジメントしよう
セルフマネジメントでは、定量的な管理を取り入れることも大切です。数字で管理するというと「ガチガチに管理されてストレスが溜まりそう」と思われるかもしれませんが、実は定性的な目標のほうが高い精神力を要求されます。
例えば「運動不足だから体力をつける」といった定性的な目標は、「どれくらい・いつまで」が曖昧なので、つい最初のほうで力を入れすぎてしまい、その辛さから挫折してしまいがちです。
ですからこういうときは、「1日15分のウォーキングから始めよう」と数字で目安を設定することが成功の鍵となります。とくに数字による管理は微調整が利くので、意思が弱い人ほど低めのハードルが設定しやすくなる定量的な管理が有効なのです。
ただその一方で、数字の扱い自体が苦手な人も少なくありません。例えば、定量的な目標設定に慣れていない人ほど「完璧な目標を立てなければ」と細かく数字にこだわる傾向があります。いつも目標を立てるのに時間がかかり、なかなか行動に移せないという人もいるのではないでしょうか。
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