多くのビジネスパーソンが苦手意識を持っているプレゼンテーション。「社員のプレゼン力を向上させたい」と、プレゼンテーション研修を検討する企業も多いことでしょう。
今回は、プレゼンテーション研修の目的や内容、プレゼン成功に欠かせない3要素について解説していきます。
プレゼンテーション研修とは
プレゼンテーション(presentation)は、「発表・提示・贈呈」といった意味を持つ言葉で、「物や考えを相手に渡すこと」という意味もあります。
転じて、ビジネスでは「企画や商品を売り込むための説明・発表」を表す言葉として用いられてきました。また、本来の語意よりも拡大して用いられることも多く、「聞き手が本当に聞きたいこと(要望)に沿って情報を伝えることがプレゼン」とする論調もあります。
そのためプレゼンテーション研修では、自分の意見や商品・サービスの魅力をわかりやすく伝える技法と、聞き手が何を求めているかを汲み取る能力について学ぶことが目的となります。
プレゼンテーション研修の目的
プレゼンテーションの目的は、聞き手に行動を起こしてもらうことにあります。商談中のプレゼンであれば、自社のサービスや商品を購入してもらうことが目的となります。つまり、聞き手に購入という意志決定をしてもらうために働きかけるわけです。
そう考えると、自ずとプレゼンテーション研修の目的が、単に営業職や広報職のスキルアップを目指すだけではないことがわかると思います。
ビジネスでは、相手に動いてもらうために自分の意見を伝える場面が日々訪れます。コンペのような勝負の場に限らず、上司への報告や定例会議での発表など、プレゼン能力は日常的な業務とも密接に関わっているのです。
しかし一方で、多くのビジネスパーソンはプレゼンテーションに対して苦手意識を持っています。ある調査では、「プレゼンテーションを行うことは得意ですか?」という問いに対して、得意と回答したのが18.5%、苦手と回答したのが58.5%という極端な結果も出ています。
※参考:SENA「『プレゼンテーション』『プレゼン資料』に関する調査2023」
プレゼンテーション研修の目的は、このようなプレゼンへの苦手意識を払拭し、様々な業務における提案力やコミュニケーション能力を向上させることにあるといえるでしょう。
プレゼンテーション研修の内容
プレゼンテーション研修では、具体的にどのような内容を学んでいくのでしょうか。一般的な研修の流れに沿って解説していきます。
なお、研修対象(営業職向け、管理職向けなど)によって、内容が若干異なることもあります。
「構成」の理解
プレゼンテーションを学ぶうえで、最初に理解しておかなければいけないのが「構成」、つまり話の順番です。
同じテーマであっても構成が変わるだけで、聞き手の関心や感情は大きく変化します。例えば、よくビジネスでは話をわかりやすくするために「結論から伝えるべき」と指導されますが、これは「PREP法」という手法がもとになっています。
プレゼンテーションの構成の代表例として、2つの手法を簡単にご紹介します。
・PREP法
PREP法は、P(Point)、R(Reason)、E(Example)、P(Point)の頭文字からなります。聞き手が高い集中力で話を聞くのは「最初の30秒」と言われるため、最初に結論を伝え、理由、事例、再び結論に戻る構成をとります。
・DESC法
DESC法は、D(Describe)、E(Express)、S(Suggest)、C(Choose)の頭文字からなります。最初に客観的事実を提示したうえで、話し手の気持ち・主観を伝えます。続けて、解決法、結果と解説することで、感情面と論理性を両立させる構成となります。
プレゼンテーションには、このような構成の手法がいくつかあるため、まずは知識面について学んでいく必要があるのです。
演習の実施
プレゼンテーション研修の多くを占めるのは、演習です。基本的な構成の知識を学んだあとは、実際にプレゼンを行いながらスキルを高めていきます。
プレゼンテーション上達のためには、人はどんなことで納得し、意志決定を行うかなどについて、理論立てて理解しておく必要があります。
しかし、プレゼンテーションは肉体的な動作を含むため、知識だけでは成り立ちません。間の取り方や目線の置き方などは、実際に練習を積んでいくことでしか上達しないのです。
研修先によっては演習の様子を録画して、自身の癖を自覚することでスキル向上に役立てることもあります。
資料作成
プレゼンテーション研修では、話し方や構成などの「伝える力」を学ぶ以外にも、資料作成に特化したプログラムも提供されています。
見やすい資料、わかりやすい資料には、デザインによる法則があります。「伝えたいことが詰め込まれ過ぎてわかりにくい」「過度な装飾でポイントがぼやけている」といった典型的な失敗も、デザインスキルを身につけることで解消できます。
資料作成についても学びたい場合は、事前に研修内容について細かく確認しておきましょう。
プレゼンを成功させるための3要素
プレゼンテーションの成功には、デリバリースキル、シナリオスキル、プレゼンスの3要素が必要といわれています。
デリバリースキル
プレゼンテーションにおいて、話し方の技術や伝える力のことをデリバリースキルと呼びます。
デリバリースキルを突き詰めていくと、様々な要素から成り立っていることがわかります。発声や声量、ジェスチャー、立ち振る舞いなど、細かく挙げていくとキリがありません。
とはいえ、高度な所作がすべてのビジネスパーソンに必要かと言えば、そうではないでしょう。マスコミや不特定多数の前に立つ役職と、日々の会議での報告で求められる水準は異なります。
プレゼンテーション研修を受講するにあたっては、どのレベルまでデリバリースキルを高めるかについて検討しておくのがおすすめです。
シナリオスキル
シナリオスキルとは、わかりやすいプレゼンを組み立てる能力のことです。前述した「構成」は、シナリオスキルにおいて最も重要な要素です。
構成以外にシナリオスキルで重要となるものとしては、ターゲットの設定が挙げられます。例えば、プレゼンの聞き手が現場の責任者なのにも関わらず、経営層をターゲットとしたシナリオでは、聞き手に響きません。
ほかにも「キーワードとなる言葉の選び方」「説得力のあるデータの活用」など、シナリオを高める要素は様々です。プレゼンテーション研修にあたっては、各人のシナリオスキルについて不足している部分を把握しておくと、より効果の高い研修を実施できます。
プレゼンス
プレゼンスとは、話し手の雰囲気や存在感、熱意などを指します。デリバリースキルやシナリオスキルと比べて、やや抽象的と感じる方も多いでしょう。しかし、プレゼンにおいては最も改善しやすい部分ともいえます。
例えば、プレゼンスを構成するものとして服装が挙げられます。ヨレヨレのシャツで、くたびれた風貌の人物がプレゼンするよりも、スーツを着こなし、背筋の伸びた人物がプレゼンをするほうが信用を勝ち取れるはずです。
プレゼンテーション研修では知識だけでなく、立ち振る舞いについても学んでいく必要があるというわけです。
説得力のあるプレゼンに必要な「数字力」
プレゼンテーションを成功させるためにはもう一つ、重要な要素があります。それが、シナリオスキルに含まれる「コンテンツ(プレゼン資料)」です。
プレゼンで聞き手に納得感や安心感を与えるためには、データ・数字に基づいた「根拠のある資料」を作成する必要があります。
しかし、多くのビジネスパーソンは、数字に対して苦手意識を持っています。「数字が並ぶ資料が出てきて、目を通すのが嫌になった」という経験を持つ方も少なくないはずです。
弊社では、そんな数字に苦手意識を持つビジネスパーソンへ向けた「ビジネス数学研修」を提供しております。数字を根拠とした思考力や提案力を身につけることで、プレゼンテーションの説得力は大きく向上します。
「社員のプレゼンの説得力が低い」「部下からの提案がどうにも曖昧」といった課題にお悩みであれば、ぜひ弊社の研修プログラムをお試しください。
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